大会プログラム
第28回年次大会 大会スケジュール
【 2024 年 9 月 21 日(土): 大会1日目 】
12:00 – 受付
12:30 – 12:45 開会式
12:45 – 14:00 大会会長講演
「なぜ、今、自我を鍛える必要があるのか―心のタフネスと力動的発達」[ 詳細 ]
講演:橋本 和典(国際医療福祉大学大学院准教授/PAS 心理教育研究所理事)
司会:花井 俊紀(PAS 心理教育研究所ファカルティ/吉祥寺心理教育研究所所長)
14:15 – 17:15 大会基調全体ワークショップ
「自我機能の活性化と発達:エントロピィ最少化と減少化の原理」[ 詳細 ]
トレーナー:小谷 英文(PAS 心理教育研究所理事長/IADP理事長)
17:30 – 19:00 臨床研究セッション
1)事例研究 2)事例報告 3)リサーチ 4)研究サポート
5)特別研究ワークショップ「教師のメンタルヘルスワークショップ」[ 詳細 ]
トレーナー:小谷 英文(PAS 心理教育研究所理事長/IADP理事長)
19:00 – 20:00 夕食/理事会
20:15 – 21:30 ウェルカムパーティー
【 2024 年 9 月 22 日(日): 大会2日目 】
8:30 – 9:45 E. Pinney 記念講演
「最近の精神医学的病態変化を青年期発達課題の面から考える」[ 詳細 ]
講演:牛島 定信(市ヶ谷ひもろぎクリニック名誉院長)
司会:中村 有希(PAS 心理教育研究所ファカルティ/東京医科大学非常勤講師)
10:00 – 13:00 訓練ワークショップ
All Day 小谷 英文 「その時どうする!医療従事者、災害対応者のための危機介入とセルフケア」[ 詳細 ]
All Day 能 幸夫 「応答構成を軸とした心理面接の基礎技法を学ぶワークショップ」[ 詳細 ]
All Day 中村 有希/花井 俊紀 「介入分析面接法」[ 詳細 ]
All Day 髭 香代子 「サイコセラピストのためのグループセラピィ」[ 詳細 ]
All Day 橋本 麻耶 「自分とつきあい、自分を生かす自分を鍛える-SMG体験演習」[ 詳細 ]
Half Day ラルフ・モラ/嶋田 一樹 「子どものアセスメント面接」[ 詳細 ]
Half Day 橋本 和典 「自我支持面接法」[ 詳細 ]
13:00 – 14:00 昼食
14:00 – 17:00 訓練ワークショップ
All Day 小谷 英文 「その時どうする!医療従事者、災害対応者のための危機介入とセルフケア」[ 詳細 ]
All Day 能 幸夫 「応答構成を軸とした心理面接の基礎技法を学ぶワークショップ」[ 詳細 ]
All Day 中村 有希/花井 俊紀 「介入分析面接法」[ 詳細 ]
All Day 髭 香代子 「サイコセラピストのためのグループセラピィ」[ 詳細 ]
All Day 橋本 麻耶 「自分とつきあい、自分を生かす自分を鍛える-SMG体験演習」[ 詳細 ]
Half Day セス・アロンソン「治療の開始・患者との関わり:対人関係と関係性の法則」[ 詳細 ]
Half Day 橋本 和典/高田 毅「危機の時代のリーダーシップ力—リーダーの自我の覚醒が組織を強くする」[ 詳細 ]
17:30 – 18:30 大グループセラピー体験「自我を鍛える」 [ 詳細 ]
セラピスト:橋本 和典(国際医療福祉大学大学院准教授/PAS 心理教育研究所理事)
19:00 – 21:00 懇親会「今年もDynamic Dinner!」[ 詳細 ]
参加費:6,600円(税込)(当日のお支払いとなります。金額調整中のため、後日追ってご連絡します。)
【 2024 年 9 月 23 日(月・祝): 大会3日目 】
7:45 – 8:45 モーニングトーク [ 詳細 ]
1)セス・アロンソン × 橋本 和典 「Why War?-30年後の未来のための心理療法知」
2)中村 有希 「適応反応症(Adjustment Disorder)研究」
(上の二つ以外にも、参加者の関心に応じて語る場を作ります。)
9:00 – 10:00 総会(学会員はご参加ください)
10:15 – 11:45 事例スーパーヴィジョン
座長 ① 牛島 定信 (市ヶ谷ひもろぎクリニック名誉院長)
② 能 幸夫 (湘南病院心理相談室室長/PAS 心理教育研究所所長)
③ ラルフ・モラ (個人開業/メリーランド大学教授)
セス・アロンソン(ウィリアム・アランソン・ホワイト研究所ファカルティ)
④ 橋本 和典 (国際医療福祉大学大学院准教授/PAS 心理教育研究所理事)
11:45 – 12:45 昼食
13:00 – 15:00 全体ケースセミナー [ 詳細 ]
コンダクター:小谷 英文(PAS 心理教育研究所理事長/IADP理事長)
プレゼンター:橋本 和典(国際医療福祉大学大学院准教授/PAS 心理教育研究所理事)
15:00 – 15:15 閉会式
プログラム紹介
2024 年 9 月 21 日(土)12:45 – 14:00
大会会長講演
「なぜ、今、自我を鍛える必要があるのか―心のタフネスと力動的発達」
講演 橋本 和典
司会:花井 俊紀(PAS 心理教育研究所/吉祥寺心理教育研究所所長)
「自我を鍛える―力動的発達のために」という大会テーマを、なぜ、この災害復興の地、福島から発信するのか。自我は、自己経営の主体感覚であり、S. Freudの精神分析理論の中核概念である。自己が強調される自我の世界は、日本ではとりわけ流行らない。しかし、世界がコロナ禍をなんとか乗り越えたかと思いきや、侵攻、戦争、度重なる大規模災害に、膨れるだけ膨れあがった「グローバル社会」は揺れに揺れている。喜劇王チャップリンが描いた人間が自己を喪失し、大きなシステムの歯車の一部としてからめとられる危機が色濃く現実化している。この時代にこそ、危機はチャンスを地でいける磨き上げられた自我、個の力こそが必要である。力動的心理療法、そしてその原理を活かした教育、臨床、組織経営において、自我をどうとらえ、タフに鍛えることができるのか、その先にある「力動的発達」とはどのようなものなのか。筆者の臨床事例を用いて「自我を鍛える」本質的な意味について、講演する。
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2024 年 9 月 21 日(土)14:15 – 17:15
大会基調全体ワークショップ
自我機能の活性化と発達:エントロピィ最少化と減少化の原理
トレーナー 小谷 英文
なぜ自我訓練なのか。力動的心理療法に携わる限り、その場では自我機能が覚醒していなければならない。エントロピィの最小化と減少化が患者/クライアントの精神作用を高める基本原理だからだ。心の安定と創造性の発達は、心を働かせる際のエントロピィを最小化することに尽きる。この基本課題に患者/クライアントと共に取り組んでいくのが力動的心理療法だ。この基本課題に取り組めているかどうかは、深刻な問題だ。どう取り組めるのか、それは練習しかない。昨今の心理療法家にこの練習を日々怠らない者がいるだろうか。
理論、体験の両次元で、この課題の基本訓練に共に汗を流そう。自我機能の覇気を高めるために。
小谷 英文(PAS 心理教育研究所理事長/国際基督教大学名誉教授)
国際力動的心理療法学会共同創立者、現理事長。アデルファイ大学ダーナー高等心理学研究所、ニューヨーク大学医学部卒後集団精神療法コースで訓練を積む。困難患者とされる人々への心理療法・集団精神療法が専門。1970 年代アメリカの現代精神分析とシステムズ理論を持って帰国し、精神分析的システムズ理論(PAS理論)を打ち立て、現在に至るまで臨床・研究・理論構築を常に一体にして取り組み続けている。
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2024 年 9 月 21 日(土)17:30 – 19:00
特別研究ワークショップ
教師のメンタルヘルスワークショップ
トレーナー 小谷 英文
学校は、子どもたちと子供たちを支えるはずの教師に生ずるメンタルな問題を、何故減らすことができないのか。多くの子どもたちと同時に多くの教師に、適応問題が日常化している。それは容易に、いじめ、依存症、過食、拒食、自殺のみならず他殺にまで及ぶ破壊的問題に至る。学校は、子どもたちにも教師にも、何かいいことが起きる希望の場所にならなければならない。
この事態を打開する学校臨床研究を紐解いて行こう。学校で起きる、児童、教師個人の問題、組織的問題事例とこれに対応するアイデアを持ち寄ろう。問題の本質を解いていく研究仮説と、研究を展開する戦略そして何を解決に導いていくのかの実践目標を組み立ててみよう。
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2024 年 9 月 22 日(日) 8:30 – 9:45
Edward Pinney記念講演
最近の精神医学的病態変化を青年期発達課題の面から考える
講演 牛島 定信
司会:中村 有希(PAS 心理教育研究所ファカルティ/東京医科大学非常勤講師)
20 世紀後半に登場した境界水準の病態、例えば、境界性パーソナリティ障害のDSM診断基準を満たすケースは、最近、ほとんど見なくなった。代わりに、社会的不器用さを特徴とするケースの対応を求められることが多くなった。かつて、境界水準の病態をめぐっては母子分離・ギャング集団への参加の過程の問題(E. H. Erikson、P. Blos)とされたが、再考の必要が出ているのではないかと考えている。その点をめぐって、私は、両親を二階に上げて、兄弟で親批判をし始める小学校低学年の心理、これまでの依存対象から離れて、隣近所のオジさんオバさんとの関係のなかで自らを支えるようになる青年期課題を考えている。いわば、世代間境界を形成し、社会の中に身を置くなかで社会性を身につけていく過程の問題である。イジメの中で親や近くの大人たちがひとつも役立ってくれなかったという恨みの心理などが重要になってくる。
牛島 定信(市ヶ谷ひもろぎクリニック名誉院長)
九州大学医学部卒業。ロンドン大学精神医学研究所留学。福岡大学医学部教授、東京慈恵会医科大学教授、東京女子大学教授、日本精神分析学会会長、日本森田療法学会理事長、日本サイコセラピー学会理事長、日本児童青年精神医学会理事長を歴任。人格障害、青年期の精神病理の解明および力動的精神療法の実践、研究をリードしてきた、日本を代表する精神分析医であり、精神分析的精神医学に最も貢献してこられたお一人である。
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2024 年 9 月 22 日(日)17:30 – 18:30
大グループセラピィ体験「自我を鍛える」
セラピスト 橋本 和典
大会2日目の17:30-18:30に、全員参加の大グループセラピィ体験を行います。「自我を鍛える」というテーマを起点として、1)何でも浮かぶことを話す、2)徹底して話している人を感じる、3)聴いて浮かぶことを話す、4)そしてそこで話されたことの秘密を守るという、最低限のグラウンドルールを活用して、セラピストとして、それを目指す大学院生として、そして、リーダーとして、あらゆる専門家として、自分のプレゼンスを感じ、表現する力を鍛え合いましょう。そこに普段感じることのない大きく機能的な自分を感じることができると思います。中日最後のエゴトレにみんなで取り組みましょう。
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2024 年 9 月 22 日(日)19:00 – 21:00
今年もDynamic Dinner!(懇親会)
中日の丸一日、心と体を思い切り感じ、働かせ、エネルギーを燃やした後は、旨いものを食べ、旨い酒を飲み、同輩と語らい、学会最終日、そして、これからの臨床に向けての熱を高めましょう。そして、IADP参加者と今ここに共にあることを喜び、愛情のエネルギーを感じましょう。自分の熱を感じたら、その場で皆に向けて言葉にのせて出してみましょう。仲間の中にいる自分の存在を強く感じるはずです。IADPの懇親会は、単なる社交の場ではありません。ダイナミックなグループです。会員だけでなく、非会員の参加者、特別オープングループの参加者、初参加の方や大学院生の方も参加して、ダイナミックディナーを楽しみましょう。
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2024 年 9 月 23 日(月・祝) 7:45 – 8:45
モーニングトーク
大会3日目の7:45-8:45にモーニングトークセッションを行います。集まった参加者が、臨床家として、語りたいこと、議論したいこと、聞いてみたいことなどを自由に持ち寄り、話したいことやテーマで集まってグループを作り、語り合う空間を作ります。皆さんがそれぞれお持ちのテーマを語ることができる場としてご活用ください。
また、ゲストファカルティの先生方とも近い距離で話をすることもできる時間です。貴重な機会ですので、積極的に自分のテーマをぶつけてみてください。そこから力動は動き出します。大会事務局からは、以下の二つの場を作ります。それ以外にも、皆さんの関心に応じて、ぜひ、モーニングトークを楽しみましょう。
1)セス・アロンソン × 橋本 和典 「Why War?-30年後の未来のための心理療法知」
理論物理者のアルバート・アインシュタインが、精神分析家のS. Freudに「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるか」を問うた。「Why War?(ひとはなぜ戦争をするのか)」と。現代のわれわれは戦争を克服し、30年先の未来を描くことができるのか。日米の二人のエキスパートが、文化を越えて、精神分析的心理療法知の可能性とミッションについて語り合います。ぜひ、ご参加ください。
2)中村 有希 「適応反応症(Adjustment Disorder)研究」
今、適応反応症の診断が増加している。外的適応への対応に傾き、内的適応能力の「発達」に目を向けないことによる適応問題の持続化が背景にあるとみている。現時点では力動的心理療法こそが適応能力の発達に寄与する処方であろう。現代の適応問題の力動様態とその治療アルゴリズムについて議論したい。(令和6年度 精神分析武田こころの健康財団の助成を受けたものです)
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2024 年 9 月 23 日(月・祝)13:00 – 15:00
全体ケースセミナー
コンダクター 小谷 英文
プレゼンター 橋本 和典
IADP年次大会のクライマックスが全体ケースセミナーです。1つの事例(ケース)を参加者全員で検討し、そのケースを前に進めることに挑戦します。参加者は、全員そのケースのスーパーヴァイザーとなって、ケースに参加し、アセスメントを行い、ケースフォーミュレーションを作り、ケースと向き合います。大会期間中に学んだ知識、理論、技術などをフルに使って、3日間の成果を確認しましょう。
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2024 年 9 月 22 日(日)10:00 – 17:00
All Day―訓練ワークショップ(10:00 - 17:00)
その時どうする!医療従事者、災害対応者のための危機介入とセルフケア
トレーナー:小谷 英文(PAS 心理教育研究所理事長/IADP理事長)
危機とは、人が生と死の狭間にあるという事態である。医療従事者の仕事にはそれが基底にあり、パンデミックや大災害においてはその事態が日常となる。大災害対応には、医療従事者に加えて命を繋ぎ、生活を守り再建する危機介入が、専門家やボランティアにより展開される。生と死を分ける介入には、「その時どうする」の即時的な観察-判断-アクション(PEA)機能の的確な働きと介入者自身のセルフケア覚醒が、必要条件となる。この必要条件はヒステリー性の集団力動によって常に脅かされる。元来、臨床とは危機介入であり、その基本は臨床精神分析にある。すなわち「その時どうする」の介入分析と自己分析、そして集団分析である。これを共に、訓練しよう。
定員:なし
対象:医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、教師、その他メンタルヘルスプロフェッショナル
応答構成を軸とした心理面接の基礎技法を学ぶワークショップ
トレーナー:能 幸夫(湘南病院心理相談室室長/PAS 心理教育研究所所長)
応答構成とは、架空の事例の面接場を用い、その事例の発言をどう捉え、感じ、理解するのか、そして、その上で自分らしい応答を構成し、磨いていく訓練法です。このワークショップでは、ワークシートを使いながら、クライエントの発言内容や気持ち、それと援助者自身の気持ちを分け、そのうえで自分らしい応答を構成していきます。 また、自分のあるいは仲間の応答を用いて、ロールプレイで、その応答の実際を体験してみましょう。
今年は、たっぷり6時間の時間があります。応答構成を軸に、面接者のプレゼンス(存在感)と面接介入の基礎としての応答構成の意味もしっかり体験できる機会を提供します。専門家としての自分という資源を存分に使う楽しみをつかみながら、自らのセラピスト自我を鍛えていきましょう。
定員:6名
対象:臨床経験年数は問わず。初学者からベテランまで。対人援助職を目指す大学院生も可
介入分析面接法
トレーナー:中村 有希(PAS 心理教育研究所ファカルティ/東京医科大学非常勤講師)
花井 俊紀(PAS 心理教育研究所ファカルティ/吉祥寺心理教育研究所所長)
力動的心理療法の「介入」は、目に見えることを起点に、クライアントが自分では見えないことを可視化するためのものである。人は無意識の世界で多くの自分を生きている。多世界に生きているのが我々「人」である。セラピストはクライアントの波に乗り、その波の中にあるエネルギーの粒を捉え、ノイズを最小化することで、クライアントの変化に向けてのエネルギーに迫ることができる。クライアントの変化を妨げているのは、セラピスト自身である。セラピストが変わればクライアントも変わる。セラピスト自身がその変化の体験をしよう。クライアントとの面接場面で詰まったやりとりを各自持ちより、その場面にある変化の可能性に関われるようになることを目指そう。
定員:12名
対象:大学院生、初心者、中堅、上級の人格変化を追求するセラピスト
サイコセラピストのためのグループセラピィ
トレーナー:髭 香代子(PAS 心理教育研究所セラピスト)
サイコセラピストとして、最大限セラピスト自我を使えるようになりたい人のためのグループセラピィです。セラピスト自我を意図して起動し、機能させ続けることで鍛えていく。サイコセラピストたち同士で競い合うようにして、そして自身のセラピスト自我を動かす感覚を楽しみながら、鍛錬しましょう。
あなたは、どんなサイコセラピストになりたいのですか?今は、どんなサイコセラピストなのですか?臨床経験の長短は問いませんが、臨床家としてご自身を見つめ直し、セラピスト自我を鍛えることに真摯に取り組む意志のある方を歓迎します。
定員:10名
対象:臨床家(セラピスト自我を鍛える意志のある方)。経験年数は問わない
自分とつきあい、自分を生かす自分を鍛える-SMG体験演習
トレーナー:橋本 麻耶(PAS 心理教育研究所セラピスト)
かつてのサッカー日本代表選手が敗因を「自分たちのサッカーをさせてもらえなかった」と振り返っていたように、本来持っている力が必要な時に発揮できないという感覚は誰にでもあるでしょう。自我の力を十分に機能させるためには、自己内に安全な空間が必要である。そして、十分に安全な空間は、自我の働きにより作りだすことができる。この自己と自我の相互作用を活性化させることこそが窮地にも働けるセラピスト自我を鍛錬し、よりレジリエントにしていくための準備となる。SMG(ストーリーメイキンググループ)は安全空間を失ったクライアントに、この自己と自我の相互作用を動かすことを助けるために開発されました。本WSは、SMGを体験することを主に、体験的な概念の習得を目指します。
定員:6名以内(最少遂行人数3名)
対象:初心の心理士からベテランまで
2024 年 9 月 22 日(日)10:00 – 13:00
Half Day―訓練ワークショップ(10:00 - 13:00)
子どものアセスメント面接
トレーナー:ラルフ・モラ(個人開業/メリーランド大学教授)
嶋田 一樹 (静岡県立こども病院心理療法士)
子どもと思春期のアセスメントには身体的、情緒的及び認知的発達の知識が必要である。また発達段階に直接的に対応した質問の仕方も必要である。私たちは子どもが一様に発達段階に到達すると考えがちであるが、実際はそうではない。発達段階は固定的なポジションというよりもガイドとして機能すべきである。臨床家は常に、その人が発達の中で実際にどこまで到達しているか認識しておく必要がある。文化、言語、社会経済的な機会は媒介として働く。そのため、若者の能力の幅広く見渡せるような手段を発達させ、使用することは臨床家にかかっている。そして、これらは適応的・不適応的及び成熟度の指標を示すものとして評価される。しかし、ファンタジー(幼少期で最も用いられ、青年期にはかなり少なくなる)を含め、すべての子どもがある程度、一様に発達する領域もある。同様に乳児の(全体としての)自己像が分離個体化し自己対象として表象されるようになる。批判的思考は潜伏期まで現れない。運動神経は時間とともに向上する。このような一般的な規則は、子どもの発達を図式化する上で重要である。
アセスメントでは、治療と同様、臨床家は子どものように考え、感じ、行動することが求められる。これは心地の良いものではないかもしれない。しかし、自分の内側の子どもの部分に触れ、子どもと効率的にコミュニケーションをとる能力を発達させることは可能である。このワークショップでは、子どもたち一人ひとりのニーズを明確に把握することを可能にするような、子どもたちとのコミュニケーションのためのフォーマットを提供する。
定員:なし
対象:初心から中堅の専門家
ラルフ・モラ(個人開業/メリーランド大学教授)
米国アデルファイ大学において臨床心理学の博士号を取得。アメリカ陸軍戦略大学およびテキサスA&M大学大学院において軍事・国家戦略研究で論文を書いた。長年、子どもの治療やAIDS患者のPTSD治療に精力的に携わってきた。その後、軍人のメンタルケアに従事し、軍人のみならず、その子どもや家族のケアに取り組んできた。2014年にアメリカ防総省での仕事を引退し、現在はメリーランド大学の非常勤教授を務める一方で、広島県廿日市にて個人開業をしている。
自我支持面接法
トレーナー:橋本 和典(国際医療福祉大学大学院准教授/PAS 心理教育研究所理事)
「明日、死ぬと決めています」「虐待するんじゃないかって怖い」「もうだめです、何も力が入りません」・・・日々の臨床は、まさに、生と死の接面に立ち会う。クライアント・患者の発する発言の内容も重視しながら、それにとらわれず、本人の自我(自己経営主体)とエネルギーをとらえる眼鏡(視点)を持つだけで、面接は立体的になり、奥行が出て、生き生きとしたものに一変する。何より、クライアントを助ける手ごたえをつかめるようになる。各人が、四苦八苦している日々の臨床断片を持ち寄り、自我をとらえ、活性化する自我支持的面接法の基礎理論と技術の練習を行う。初心からベテランまで、自我支持的面接法に関心のある専門家(資格・職種は問わない)、大学院生は大歓迎である。共に、技を磨きましょう。
定員:20名
対象:メンタルヘルス専門家(経験年数、資格・職種は問わない)および大学院生
2024 年 9 月 22 日(日)14:00 – 17:00
Half Day―訓練ワークショップ(14:00 - 17:00)
治療の開始・患者との関わり:対人関係と関係性の法則
トレーナー:セス・アロンソン(ウィリアム・アランソン・ホワイト研究所ファカルティ)
ハリー・スタック・サリヴァンは面接の目標の一つを、患者の“特徴的な生活のパターン”の発見だと述べている。セラピストは自分自身を使いながら、参与しながらの観察によってそれを発見する。サリヴァンは初めて行動化(エナクトメント)について以下のように説明した;それは、セラピストは自分で選んだ質問をしたり情報を集めようとしたりするなどして、面接に参加せずにはいられないということである。このワークショップでは、セラピスト自身をどう使うか、またどのような“データ”を集めなくてはいけないのかについて焦点を当てる。ここでは愛着理論、自我心理学、対人関係や関係性の理論など、多くのモデルから学ぶ。またイーガー・レヴィンソンとフィリップ・ブロムバーグの功績にも倣っていく。彼らはサリヴァンの理論を拡張し、患者の語りと解離プロセス(特に東日本大震災の地震や津波のようなトラウマ的な出来事の後)のギャップや漏れを探すことにまで発展させた人物である。参加者の皆さんには積極的に自分たちの面接から例を挙げ共有していただきたく思う。
定員:なし
対象:初心から中堅の専門家
セス・アロンソン(ウィリアム・アランソン・ホワイト研究所ファカルティ)
ウィリアム・アランソン・ホワイト研究所訓練ディレクター、訓練・スーパーヴィジョン分析家。アメリカ精神分析協会プログラム委員長、アメリカ集団精神療法学会フェロー。ロングアイランド大学非常勤教授。Yeshivat Chovevei Torahラビ養成校においてラビ学生を対象としたプロセスグループのリーダーを務めている。
危機の時代のリーダーシップ力—リーダーの自我の覚醒が組織を強くする
トレーナー:橋本 和典(国際医療福祉大学大学院准教授/福島復興心理・教育臨床センター所長)
高田 毅 (健康科学大学准教授)
学会の特別オープンプログラムの一つである。私がこれまで臨床仕事をともにしたリーダーたちの多くは、「リーダーシップ」とは何かを深くは理解せぬままに、日々のタフな組織経営を行っていた。経験と度胸で。その力には凄まじいものがある。しかし、そこに、知られざる力動的なリーダーシップの理論と技術が備われば、そのリーダーの力がさらに熱と凄みを増すことを私は幾度となく見てきた。リーダーが進化すれば組織も変わるのである。人間ドックによる健康の定期点検があるように、日々の重責を担うリーダーにも、自分のリーダーシップ力を点検するリーダーシップドックがあってよい。本ワークショップでは、集ったリーダーたちの自我のさらなる覚醒を第一として、各人のリーダーシップ力を点検し、明日を、そして、未来を切り開くためのスケールアップを狙う。
定員:20名
対象:組織のトップ;企業経営者、取締役、人事担当者、管理職者、災害復興組織のリーダー、災害復興地域のリーダー、家庭や町内会も含むあらゆる組織のリーダー、メンタルヘルス専門家、大学院生